2012/03/14(水) 09:30:59 [国思う勉強会/国守る勉強会]


ノートを取る大切さ

 みなさまは、学校へノートを持参され、授業ごとにノートを取られていることかと拝察します。新たに知る事柄をノートに取る。それ自体が重要な学びの一つかと思います。どうか進学された後も、社会に出られた時も、その習慣を活かしていただきたく思います。

 私の体感に過ぎませんが、たとえば、社会人生活において、所謂「出来る人」はほぼ例外無く手帳なり、ノート(紙)を携帯して活用している。一方で、同じ失敗を繰り返す人、所謂「伸びない人」は、本来の能力の有無や仕事への適性の有無云々の、それ以前の問いとして、その点を疎かにしている人がほとんどではないか。研究生活から社会人を経た身の拙き経験からですが、そう拝察してまいりました。

 ノートを取る。そこには幾つかの自己を活かすべく重要な点が有ります。一つは、単なるメモ、記録に留(とど)まらず、後に、その記述を自身が目にして、その時の状況を克明に思い起こせること。

 もう一つは、その時の記述から想起し得る事柄や出来事の内容を、自身のことながら客観的に観て考えることが出来る。いわば、さらに改善すべき点や新たな工夫を生み出す端緒とできる点に有ります。
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物理学者の先生に習う

 ここで拙き思い出をお話すれば、それが小学校へ上がる直前であったことを記憶していますが、学者であった父がつてをたどり、この三男を往年の物理学者に会わせてくれたことが有りました。その時に、幾つかの重要な、且つためになるお話を伺ったのですが、その一つが、ノートを取る大切さについてでした。

 その時、その先生ご自身も、ご自身なりのノートを常に大切にされていたことを伺いました。戦後の物資も設備もままならない状況下で、まさに日頃のノートをもとに、鉛筆で藁(わら)半紙の上に数式を凝らし、さらにその裏側まで大切に使いつつ思惟を巡らせ、またそれを数式に置き換えてご自身の研究を進められた。

 そして、設備や陣容といったハード面では、比較にならないほど豊かであった西欧の学者諸氏が見落としていた中間子の存在を見い出し、数学的に実証されるにいたった。その研究を底支えした要がやはりご自身のノートであった。これを貴君に差し上げよう。是非、立派な学者になってくださいと。真新しいコクヨの大学ノートをその時に三冊いただきました。嬉しかったですね。そうこうして、幼い少年もノートを取り始めた次第です。

 また、余談ながら、その時を思い出せば、たとえ思想信条の違いは多少有る場合であっても、先達に学ぶべき点は確として敬意を以って「学ぶ」。後年、その大切さをも父が無言で教えてくれた思いがし、とても感謝しています。ノートを取るもう一つの大切さもそこに有ろうかと気づきました。
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開示する必要も無し

 たとえば、箇条書きやキーワードの羅列でも良いです。ノート(紙)は、みなさま個々がもっとも書きやすい方法で記していってください。あえて必要な項目が有るとすれば「日付」ですね。その上で、あくまで私の場合ですが、何時何分から何時何分までと記す場合も有ります。

 誰に見せるつもりで書く必要も有りません。ご自身のために、一番やり易い方法で記してください。米国での受講や会議の時は、お隣さんがノートを覗き込む時が有りました。それならばこれを覗いてみよ、とばかりに日本語でノートを取っていました。頭の中で瞬間翻訳しつつノートに取るわけですから、言語の語彙の勉強にもなりました。一方、日本での同じような場合は、ふと英語が解る人が多いので、それならばこれを覗いてみよ、とばかりにスペイン語で記す。スペインに行けば、やはり日本語で記す。という具合に、不器用ながらも必ずノートを取るようにして来ました。

 たとえば、十年ほど前のケンブリッジ(マサチューセッツ)の研究室でのメモを見れば、今でも情景が克明に浮かびます。パウダーのような雪がしんしんと窓外に降り積もり、その会議では隣にインド出身の若い電磁気学の専門家が座り、そのまた反対側の隣には、高齢の、米国人の物性学の専門家が座っており、どういう質問や提案をしておられたかなど。記憶庫の扉を開けるかのように、思い出す事柄が数多と出て来ます。また、それらの人々もまた、実に几帳面にノートを記していたことを憶えています。

 ごく基本的な事柄の一つとして、敷島のこれからの世代を担われるみなさまが、ノートをお身近に活用されることをここに提案申し上げておきたく思う次第です。

(平成23年2月12日の「青少年講座」の話より)
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■ 「博士の独り言」付記:

国思うメモについて 2011/11/10 
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日本は毅然とあれ!  

20110502004  
敷島の桜花(筆者)
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